みなさんこんにちは。天萬堂オーナー由美ちゃんです。
さらに身体に優しい和菓子を作る為に血糖値が上がらない結晶果糖を使う事を決めた天萬堂!
しかーし!
想いだけでは、うまくいかない。行動あるのみ!
今回は商品リニューアル完成までの汗と涙の日々の物語をお届けいたします♪
題して、「由美ちゃんと結晶果糖ちゃん」
はじまり、はじまりー!
第1回目あんこ試作の巻
砂糖と同じ白さ、そしてサラサラの食感、上品な甘さ、それに加えて血糖値があがらない!良いことづくしの結晶果糖。
「これは行けるぜ!」と自信満々で作ったあんこを
スタッフみんなで味見しました♪
しかしながら、みんな微妙な反応…
思わず「何、これ?」とつぶやきが出てしまうほど。
目の前にあるあんこは味がなかったのです。
ぼやぼや~とした味で、小豆の風味・甘さ・コクもなく…
てんさい糖とまったく同じ作り方をしたのに、こんなにも違うのかと驚きました!
では、ゴロリと作り方を変えてみようではないか
どこまでもポジティブに。更に気合いを入れたのでした♪
この日から『美味しい!!』とスタッフに言ってもらえるまでのあんこ製作の日々がはじまりました!
改善案①コトコト煮込みで小豆の味・風味を引き出す!
まずは、あんこのぼやけた味を、『ぼやけていない味』へ。
ひとつずつ問題をクリアして行くことにしました。
そのために、小豆の味や風味を出すことを意識して作ってみることに。
天萬堂では、普段小豆を必ず手で20分以上洗います。
これにより、小豆の白い髭が取れて渋みがなくなりマイルドな味になります。
しかし、「今回はこの渋みが必要なのではないか?」と考えた私は、
白い髭をあえて残して弱火でコトコト煮込んでみました!
でき上がった試作をもう一度スタッフたちへ…
すると 「前よりも味がハッキリしてきた。」との声が!
「後味が渋い」との声もありましたが
それが「小豆の白い髭の味」です。
(個人的には白ひげ海賊団味と呼んでいます。某有名漫画参照)
しかしながらいろいろ好評価も得たものの、肝心のぼやぼや~とした味を改善するには至らず…。
これまで来る日も来る日も20分以上かけてやっていた小豆洗いからやっと解放される!!と思いきや、
又、毎回20分以上かけての小豆洗いをする事になりました(^^;)
『20分以上洗わんでいいと?!』とのスタッフさん達の喜びも束の間。1日で消えました…
改善案②小豆の蒸し煮で風味を確保!
ぼやぼや~とした味の改善案の第二弾として
小豆の味と風味だけは譲れません。
そこで小豆を蒸し煮してみることにしました。
鍋には、少量の水、内蓋をして外蓋をして小豆の風味を閉じ込み、
そして時間を短縮して煮てみると…
無事、小豆の味も風味も確保♪
しかしながらこの作り方だと、だれか1人がつきっきりで鍋の側にいて、
ギリギリ焦げないように見守る必要があります。
ちょっとでも目を離せば、焦げてしまいます。(実際焦がしたことも^^;)
試作の段階で小豆の量も少しの状態だったので、
これが多くなるともっと見守りが必要です。
天萬堂は、同時作業が多いために、
このやり方は、断念しました(>_<)
でも小豆の味と風味の確保のやり方は掴んできました!
改善案③水加減を全集中で調整!
そこで、次は落とし蓋をして煮れば水分も飛ばすにうまくいくはず!と思い
さっそくやってみるものの…なんと『失敗』
原因は、結晶果糖は、材料(小豆)に一般的な砂糖に比べて2倍速く吸収されるためでした。
小豆の中にシュッ!と結晶果糖が入り込んでしまうので、
他の調味料が入り込めず、煮れば煮るほど小豆の味も風味もなくなってしまうのです…。
どうやら、ぼやぼや~とした味もそこからきていたようです。
でも原因がわかれば、やってみるのみです♪
結晶果糖が、小豆の中に吸収され尽くす前に
他の調味料達も一緒に仲良く座ってもらわなければいけません!
一般的な砂糖に比べて2倍も速く小豆に吸収されるので、
超短時間の間に、次の調味料をすばやく投入します!
でも、この時点で水分量が多いと…
また、ぼやぼや~の味になってしまいます…。
それに、天萬堂のあんこは、おはぎ用・他の商品のあんこ・白玉小豆用(期間限定)あんこの3種類があります。
あんこの種類によって、水分量はめちゃくちゃ変わるのです。
ここからひたすら全集中で試作を繰り返します!
「あれがこうだったから、こうして、あーして、ダメなら、あーしてこーして…」
ずーっとブツブツ独り言を言いながらも《水加減》やっと決まりました!
(そんな時、わざと独りぼっちにさせてくれる理解あるスタッフ達 笑)
余談:結晶果糖の性質について
ここで、結晶果糖の性質(個性)をもう2つ。
●温かいと甘味が少なく感じ、冷えれば、甘みを強く感じる
●通常の白砂糖の甘みの1.5倍の甘さあり
なので、あんこを作る時は、
『温かい時の甘さ』と『それが冷えた時の甘さ』を頭に入れておくことが大切です。
(ご家庭で、お料理に使われる際はあまり心配されなくても大丈夫です♪)
また、通常の白砂糖の量から計算して、結晶果糖用の量を出します。
通常の1.5倍の甘さなので…。
例1,000gの砂糖の場合
↓
1,000g÷1.5は666g。
666gの結晶果糖は、1,000g分の砂糖と同じくらいの甘さになります!
(てんさい糖やきび砂糖などもこの計算式でできます。)
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